冷戦期は
アメリカ合衆国を筆頭とする西側諸国への対抗上、核兵器や核兵器を搭載可能な超音速爆撃機、ICBM(大陸間弾道ミサイル)や大陸間弾道ミサイルを搭載可能な原子力潜水艦、超音速戦闘機や戦車などを配備し、強力な軍事力を保持していた。
1960年代に入り、東西間で核開発競争が過激化する中でソ連は超大型水素爆弾、AN602を製造する。通称「ツァーリ・ボンバ」と呼ばれるこの水素爆弾は広島型原爆の約3300倍の威力と言われ、第二次世界大戦中に全世界で使われた総爆薬量の約10倍の威力とも言われる単一兵器としては人類史上最大の威力を有していた。この時期にソ連が運用を開始した自動報復システムは、ひとつの些細な判断ミスでも世界規模の核戦争を引き起こしかねないことから「滅亡装置(Doomsday device)」と呼ばれた。その危険性を示す実例として、1983年に監視システムのコンピュータが核ミサイル発射を誤報した事件がある。
しかし、こうした強力な軍事力の維持は軍事費の増大をもたらして国家予算を圧迫し、その分、民生向けのインフラや流通システムなどの整備に遅れをきたし、結果的に国民経済を疲弊させた。エリツィン時代に軍備再検討を行い、ソ連の軍備は縮小されたものの、核開発においてはむしろ前よりも莫大な資金を投じている。